■Vol.178 (2021年03月配信)
あるネットワーク型カメラの
セキュリティ侵害事件
世界の防犯カメラ設置台数が10億台に迫り、“超監視社会”となりつつある現代。
国内でも防犯カメラの設置数は500万台近くまで増えており、最近ではネットワークカメラの普及によって、個人宅のセキュリティにも手軽に導入されるようになりました。
そんな中、米国のあるホームセキュリティ会社によって、とんでもない事件が発生。
なんと同社スタッフが、顧客の家に設置したカメラに不正なアクセスをくり返し、着替えやセックスなどの行為をのぞき見していたというのです…。
気軽に導入できるネットワーク型カメラ
問題を起こしたセキュリティ会社は、米国内では有名な大手企業。おもに個人宅や小規模オフィスの警備・防犯システムを提供しており、外出中に自宅の様子をチェックできる、ネットワーク型の監視カメラも販売しています。
この監視カメラを設置し、さらにこの会社のセキュリティサービス専用アカウントを取得すれば、ユーザーはパソコンやスマートフォンなどを使って遠隔からカメラの映像にアクセス可能。
防犯対策としてはもちろん、離れた場所から子供やペットなどの自然な姿を見られるのも、人気の要因となっていました。
ある顧客の問い合わせから事件が発覚
ところが、ある日。このサービスを利用する顧客の一人が、自分のアカウントに身に覚えのないメールアドレスが登録されているのを発見し、このセキュリティ会社に問い合わせました。
企業側がすぐに内部調査を行ったところ、テキサス州を担当する技術者の男性が、顧客のアカウントに自身のメアドをこっそり追加し、その邸宅のカメラに不正アクセスしていたことが判明したのです。
累計9600回以上もの不正アクセス!
彼はセキュリティサービスの技術者として訪問した家に魅力的な女性がいた場合、前述の方法でカメラ映像をのぞき見して性的な満足を得ていたらしく、その行為は常習化していました。
その証拠に事件が発覚するまでの約5年間で、彼が侵害したアカウントは220件を越え、不正アクセスの累計はじつに9600回以上!
日常的に複数のカメラをのぞき、女性の裸やカップルのセックスを見つけては興奮していたようです…。
もちろん、この技術者は問題発覚直後に解雇され、本人が罪を認める中、すでに裁判も行われています。判決はまだですが、コンピューター詐欺および視覚記録の侵害罪で、最大5年の懲役刑が下される可能性があるとのことです。
ネットワーク接続はくれぐれも慎重に…
いんや〜…コワイですねぇ。以前のコラムでもご紹介した“IoT貞操帯”しかり、インターネットは便利な反面、第三者が介入するリスクがある以上、導入は慎重に考えるべきでしょう。
日本でも一時期、WEBカメラやパソコンのパスワードを初期設定のまま使いつづけている人が多い…と問題提起されたことがあり、そうした“ユーザー意識”から変えていく必要性を感じます。
監視カメラでも家電でもアダルトグッズでも、ネットワークに接続する際には、でき得る限りのセキュリティを確保し、自身もデバイスの使用方法やメンテナンスについて学習することが大切。
そして、システムへのアクセス権があるユーザーやログイン履歴などを定期的にチェックすることも忘れてはいけません。
逆に現状では、そうした労力と時間を掛けてでも受けたいサービスじゃないと、インターネット通信を介する価値はないのかもしれませんね。
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